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【院長コラム】抗生剤が効かない時代が来る?薬剤耐性菌の脅威

こんにちは。暖かくなったとおもったら、また真冬のような寒さに逆戻りしたりして、この時期は体調を崩されている方も多いようです。

前回は上気道炎をおこすウイルスや細菌、真菌のはなしをしました。

今回は薬剤耐性菌のはなしです。

薬剤耐性菌という言葉、聞きなれない言葉かもしれません。

いったいなんなのでしょう。簡単に言うと抗生剤が効かなくなってしまった細菌のことです。薬剤(抗生剤)に細菌が耐性をもってしまったということです。抗生剤が細菌に聞きにくくなることを薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)といいます。

 

例えば肺炎になって入院、1週間抗生剤で治療してめでたく無事よくなって退院したとします。こういう時にその抗生剤が効かなかったらどうなるでしょう。抗生剤が効かないので肺炎の原因となる細菌をやっつけることができません。結果肺炎は良くならず治療が長期に及んでしまったり、場合によっては致命的になってしまうこともありえます。特に、がん治療や手術など免疫が低下している患者が多い医療の現場では、抗菌薬が効かない感染症は深刻な脅威となります。

ではどうしてそういう抗菌薬(抗生剤)がきかなくなってしまう細菌が出てきてしまうのでしょう。

 

原因はいくつか考えられます。まず大きな原因は抗菌薬の不適正使用です。

例えば風邪やインフルエンザなどウイルス感染によりおこる疾患に対しては抗生剤は効果がありません。そのうえ正常で有効な腸内細菌叢を乱してしまったりしていいことはありません。このように必要のない抗生剤を服用することによって体内にいる細菌の中で耐性をもつ細菌が生き残り、やがてそれが増殖することで薬剤耐性をもつ細菌ができあがります。

 

 

抗生剤に対して正しい知識を持つことが重要です。

次に抗生剤の内服を自己判断などで途中で中止することも薬剤耐性菌の原因となります。

体内に残った細菌が薬剤耐性を持ってしまうことがあるのです。

治ったからと言って内服を自己判断で中止せず、処方された日数をきちんと内服することが大切になります。

もう一つの原因としては医療以外の農産物や畜産物、水産物における抗菌薬の使用があります。農産物・畜産・水産においても病気の予防や治療のために抗菌薬が使用されますがこれによって動物の体内で耐性菌が発生し、環境や食品を通じて影響を及ぼすことが知られています。

 

このように発生してくる薬剤耐性菌の問題は、密かに感染が拡大しているという意味合いで「サイレントパンデミック」と呼ばれています。

薬剤耐性菌に対して、このまま何も対策がとられないと、2050年には全世界で薬剤耐性菌関連の死亡者数は毎年1,000万人に上り、がんによる死亡者数を上回ると言われています。2050年ですからもう近い将来の話です。もう待ったなしの状況になっているといえます。

今後薬剤耐性菌のまん延を防ぐには、医療従事者のみならず、みなさんの正しい理解が非常に重要となってくるのです。