【院長コラム】その風邪、本当に風邪?ウイルスと細菌の違い
風邪②
こんにちは。前回は風邪、急性上気道感染症はウイルス感染がメインの原因であるというお話をしました。
今回はウイルスと細菌、真菌(カビのことです)の違いやそれらの感染症のはなしです。
ウイルスや細菌、真菌はみな人間に病気をおこすことがありますがが何が違うのでしょう。
まず大きさですが、ウイルスの大きさは細菌のだいたい10分の1くらいです。

※サワイ健康推進課ホームページより引用
そして増え方に大きな違いがあります。
細菌や真菌は自分で細胞分裂して増えていくことができるのに対してウイルスは単独で増殖することはできず、宿主といわれる生きた細胞(例えば人の喉の粘膜細胞など)の中でその細胞の機能を利用しないと増殖できません。

細菌はヒトの病気に関係があるものは例えば溶連菌や大腸菌、結核菌、肺炎球菌などがあります。
真菌という言葉は聞きなれないかもしれませんが、要はカビのことで、ヒトに病気を起こす代表的なものにはカンジタや水虫の原因となる白癬菌などがあります。
今回は風邪の話ですが、風邪のような症状で細菌感染が原因になることはあるのでしょうか。
風邪症状を起こすウイルスはみなさんご存じのインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどがあり風邪を起こす原因となるウイルスはなんと200種類(!)もあるといわれています。
風邪を起こす病原体の80-90%はウイルス感染が原因と言われていますが、風邪と同じような症状で細菌感染が原因となる場合があります。たとえば喉が痛くなる溶連菌感染症や鼻汁や頭痛などが起こる細菌性副鼻腔炎などがあります。
自覚症状としてなにか違いがあるのでしょうか。
まず 一般的に細菌感染の場合は症状がより強くなる傾向があります。
また風邪では3-4日で改善傾向となる場合がありますが、細菌感染では急速に進行したり、より長い時間がかかったりすることがあります。
もうひとつ重要な違いがあります。ウイルス感染では鼻、喉、咳、痰などの症状が複数現れる(より広く粘膜に感染する)のに対して、細菌感染では一つの細菌に対して一つの臓器が影響される場合が多くなります。
鼻水が出て、喉も痛く咳も出るとなると(鼻の粘膜と喉の粘膜と気管の粘膜に広く感染している)ウイルスが原因の可能性が高く、例えば溶連菌という細菌の喉への感染であれば鼻水や咳とかは少なく、喉の痛みのみが症状といった具合です。
またウイルス感染によって障害され免疫力の低下している粘膜に2次的に細菌感染が合併することもあります。
では真菌が気道の粘膜に感染を起こすとどのような病気を引き起こすのでしょう。
代表的なものに肺アスペルギルス症や口腔内カンジタ症があります。
肺アスペルギルス症は免疫力が低下していたり、肺気腫など慢性の肺疾患の方に多い疾患です。主な症状は、難治性の咳、痰、発熱、呼吸困難で、早期の画像・培養検査と抗真菌薬による治療が重要で、重症化すると命に関わることもあります。免疫低下していたり、慢性の肺疾患がある方で咳や発熱が長引く場合ははやめに医療機関を受診するようにしましょう。
口腔内カンジタ症はやはり免疫力が低下していたり、抗生物質の長期服用、ステロイド(免疫力を抑制する作用があります)を長期利用している方に多く発症します。常在菌であるカンジタ菌が免疫低下、抗菌薬の長期服用、口腔乾燥などで異常増殖して発症します。乳白色の白苔(斑点)や粘膜の赤み、痛み、味覚異常が特徴で、抗真菌薬のうがい薬や内服薬で治療します。
このように気道粘膜にはウイルスや細菌、真菌どれも感染する可能性があります。
ウイルス感染が原因であれば抗生剤は不要ですが、細菌感染が疑われる場合は抗生剤投与で治療します。
抗生剤は適切に使用すれば、重要な働きをするきわめて有効な薬剤ですが、昨今、抗生剤の不適切使用による耐性菌の問題がおきています。
耐性菌というのは本来効くはずの抗生剤が効かなくなってしまった細菌のことです。不適切な抗菌薬の使用で細菌が抵抗力を持つことで出現し、感染症の治療が困難になるため世界的に深刻な問題となっています。
次回はその耐性菌についてお話ししたいと思います。
