第8回 コラム
こんにちは。
みなさんは「ヒートショック」という言葉をニュースやいろいろなところで聞いたことがあると思います。
たぶん気温差で身体になにかショックが起きて場合によって致命的になることだろうだろう、、、とお思いになられていると思います。
そのとおりです。
今日はそのヒートショックについてお話ししたいと思います。
まず「ヒートショック」とはどういった病態なのでしょう。
「ヒートショック」とは気温の急激な変化で身体がダメージを受けることです。
ではなぜ気温の急激な変化で身体はダメージを受けてしまうのでしょう。
ポイントは「血圧の変化」になります。
気温が低い場所にいると人間の身体は熱を逃がさないようにしようと交感神経の働きで血管を収縮させます。血管が収縮すると、ホースを想像してもらえればわかりますが、細いホースの中の水流は太い時と比べて急激になりホースの中の水圧は高くなりますよね。同じように血管の中の血液の圧、すなわち血圧は高くなります。
逆に気温が高いと人間の身体は熱を放散させようとして副交感神経が働き血管が拡張します。すると先ほどの逆で血圧は低下します。
「STOP!ヒートショック」より引用
この血圧の急激な変化はもちろん脳や心臓の血管でもおこり、その結果さまざまな症状が起こり、場合によって致命的になります。
ではどのような症状が起きるのでしょうか。
軽度の場合は一時的に脳の血流が低下してめまいや立ち眩みがおこります。ひどい場合は意識消失までいってしまいます。浴槽内で意識消失が起これば溺れて死亡してしまう場合もあります。
めまい、立ち眩み程度の症状であれば一時的なものですみますが、場合によっては脳卒中や心筋梗塞、急性大動脈解離等の重症の疾患が発生することもあります。
ではヒートショックを防ぐにはどのようにしたらよいのでしょうか。
要は急激な血圧の変動を避ければよい、すなわち急激な気温の変化を避けることです。
そのためには
①入浴前後で急激な気温の変化を防ぐために、浴室や脱衣所を温めておく、
また風呂場でなくても部屋間の移動などでも着衣の調節でなるべく急激な気温の変化を避けるようにしましょう。その他サウナ後の冷水浴でもおこることもあります。
②食後すぐは低血圧の低下が起こることがあるため食後すぐの入浴は避けましょう。
③飲酒後は血管が拡張して血圧が一時的に下がるので飲酒後の入浴も避けましょう。
④お風呂の設定温度ですが42度以上で心臓に負担がかかり、41度以上で浴室での事故が増えるという報告があります。熱すぎる風呂はさけるようにしましょう。
しかしヒートショックはだれでも起こるわけではありませんよね。
ヒートショックが起きやすい人、注意すべき人がいます。
次に当てはまる方は気を付けましょう。
・年齢が高い方
動脈硬化がある可能性があり、また自律神経の働きがにぶっている可能性があります
・高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の持病がある方
・肥満、睡眠時無呼吸症候群がある方
・熱い風呂を好む方
・30分以上湯船につかることが多い方
・飲酒後に入浴することが多い方
・浴室、まわりに暖房設備がない
・十分に水分摂取をする習慣がない
あてはまる方はぜひ注意してください。
暖かい日も少しずつ増えてきて春ももうすぐですね。
ぜひみなさんヒートショックに気を付けてこの冬を乗り越えましょう。
参考文献:健康サイト「ヒートショックとは」アリナミン製薬
LaLaクリニック
院長 安久 正哲