第18回 コラム
気象変化と体調
こんにちは。
雨や曇りの日も多くなってきました。そろそろ6月、梅雨の季節ですね。
こういった季節の変わり目のような時期に体調が悪くなる方もいるのではないでしょうか。頭が痛くなったり、だるくなったり、めまいがしたり。でもそれは気のせいではないのかもしれません。
人間は気象によって体調に変化がでることがあります。正式な医学名称ではありませんが気象病や天気痛などとよんだりします。
体調が悪いのは気のせいだろう、たまたまだろうと考えられる方も多いかもしれません。気象の変化によってほんとうに体調に変化が起きるか調べた研究がいくつかあります。
カナダで片頭痛の患者に対して14日間、1時間ごとに痛みの程度を調べた研究では温度と、気圧が上昇すると片頭痛の痛みが増悪しました1)。
また慢性歯周病の患者2万人に対して行った岡山大学の研究によると、歯周病の悪化は気圧の変化と気温上昇に関係していて、気象変化の1~3日後に症状の増悪が起こることがわかりました。これは気圧や気温の変化が自律神経を介して口腔内の細菌叢に影響し、その結果、歯周病菌が優位になることで歯周病の悪化を招くと考えられました2)。
このように気象の変化によって体調が変化することがあり、こういった気象病の多くなる時期は梅雨入り前の5月から梅雨明けの7月くらい、あとは9~10月の台風シーズンといわれています。まさに今は気象病の起きやすい時期と言えるかもしれません。
ではいったい気象の変化によっておこる体調の不良はどのようなものがあるのでしょう。
ロート製薬とウェザーニュース社は共同で「天気痛調査2020」を行いました。
ロート製薬とウェザーニュース社の共同調査「天気痛調査2020」より引用、一部改変
この調査によると「頭痛」が半数を占め一番多いようです。ついで「肩こり」、「関節痛」と続きます。
これをみると全身にバリエーションにとんだ様々な症状が起こることがわかります。
ついで性別をしらべた調査では、男性に比べて女性が気象による不調を訴えることが多いようです。
ロート製薬とウェザーニュース社の共同調査「天気痛調査2020」より引用、一部改変
ではいったいそもそもなぜ気象の変化によって体調に変化が起きるのでしょう。
ポイントは気圧の変化と内耳、あとは自律神経のようです。
次回はそういった話についてお話ししたいと思います。
参考文献
1)J Oral Rehabil. 2017 May; 44(5) : 333-339
2)Int J Environ Res Public Health. 2015 Aug 5 ; 12(8) : 9119-30.
「気象病ハンドブック」 久手堅司
院長 安久 正哲