第20回 コラム
気象変化と体調③
暑くなってきました。あっという間に真夏の空気感です。
今回は気象の変化に伴う体調不良への対処法についてのおはなしです。
前回の話ででてきたように気象の変化、そのなかでも気圧の変化に内耳が反応し、その内耳のセンサーの感度が高い人は気圧の変化を敏感に感じ取り、その結果自律神経の乱れが生じ体調の不良が出でいる可能性が示唆されます。
気象病を自覚されている方はみなさんどのような対処方法をしているのでしょう。
ロート製薬×ウェザーニュース社 天気痛調査2020より
ロート製薬とウェザーニュース社の行った調査では、天気予報を前もってチェックしたり、運動やストレッチ、薬の内服などをして対処している方が多いようです。
気象病には自律神経の働きが大きく関わっているといわれています。そのためまず自律神経の働きを整えることが大切です。大前提は生活のリズムを整えることです。人間の全身の細胞には体内時計が備わっていて、その体内時計は体を活動モードにする交感神経、休息モードにする副交感神経という2つの自律神経と連動しています。この体内時計のリズムが崩れると、自律神経が乱れうまく機能しなくなります。
この体内時計をリセットする重要なタイミングが起床時です。
- 朝は決まった時間に起きて太陽の光を浴びる
②朝食をとる
このことで体内時計がリセットされ、活動モードの交感神経を活性化するスイッチが入り、自律神経の働きも整っていきます。
次に気象病によく使用される薬、特に漢方薬にはどのようなものがあるのでしょう。
- 五苓散(ごれいさん)
体内の水分調節を改善する漢方薬でむくみを改善するため、天気により頭痛やめまいを感じる人向きです。気圧変化による頭痛やむくみのほか、倦怠感、下痢などの胃腸障害、吐き気などにも使用します。
飲むタイミングは症状の初期段階で飲むと即効性があるケースが多いといわれています。「こういう天気の時期は調子が悪い」とあらかじめわかっている場合は、2~3週間、朝昼晩と飲むことでその時期の症状を軽減できる可能性があります。
- 抑肝酸(よくかんさん)
自律神経の乱れを整え、神経のたかぶりを抑え、緊張性頭痛などをやわらげる働きがあります。天気が崩れる前夜に目が冴えたり、不安感などで眠れない人向きです。イライラや、筋肉の緊張にも使われます。
飲むタイミングは夜寝る前に飲むと気分が休まり眠りやすくなります。イライラする人は1~2週間、
1日3回飲むと効果が出やすいでしょう。
次に自分でできるマッサージや運動です。
- 耳のマッサージ
気象病の一因には、内耳に存在するセンサーの過敏状態が示唆され、マッサージや温熱刺激などで内耳の血流を改善することによって自律神経の乱れを整え、気象病の症状悪化を予防できる可能性があります。
くすりと健康の情報局 第一三共ヘルスケア より引用
- タオル体操
タオルを使ってできる簡単な体操です。首から耳にかけての血行を促すことによって内耳の血行が改善し、頭痛の症状も軽減する可能性があります。
デスクワークで首や肩が凝る人にも。10回を1セットとして、1日3セット行いましょう
くすりと健康の情報局 第一三共ヘルスケア より引用
- ツボ押し 以下の3つが有名です。
・完骨(かんこつ)
首から頭にかけての血行を良くするツボで、めまいや頭痛に対する改善効果があります
・頭竅陰(あたまきょういん)
平衡感覚を正常にする効果があります
・翳風(えいふう)
全身の血流を改善する効果があります
体調が悪くなりそうなときに、3つのツボを左右の人差し指で軽く押すと、自律神経の調整にも効果的です。
くすりと健康の情報局 第一三共ヘルスケア より引用
このように気象病に対処する方法にはさまざまなものがあります。いろいろ組み合わせを試してご自身に合った方法を見つけていくのがいいかもしれませんね。
【参考文献】
「気象病ハンドブック」 久手堅司 著