第2回 コラム
こんにちは。
長かった夏の暑さもようやく落ち着いてきて、朝夕は涼しくなってきました。
寒くなってくると皆さん血圧が高くなってきますね。
気温が下がると血管が収縮する(細くなる)ので、血管の中を流れる血流の圧も大きくなって血圧が上がります。(ホースが細くなると中の水流の圧も大きくなるのと同じです)
高血圧の治療で降圧薬を内服している方も多いと思いますが、高血圧の治療は降圧薬の内服だけではありません。
その他に大切な治療法が減塩などの食事療法と運動療法です。
運動療法というのはその名の通り運動することがそのまま治療になります。
運動が血圧を下げることはさまざまな研究で確かめられていますが、今回は適度な運動が高血圧を改善するメカニズムのうち「頭の上下動による脳への物理的衝撃」による降圧効果という東北大学の船本准教授らの興味深い研究があったので紹介します。
軽いジョギング程度の運動中、足の着地時に頭部(脳)に伝わる適度な物理的衝撃により、脳内の組織液(間質液)が動きます。これにより脳内の血圧調節中枢の細胞に力学的な刺激が加わり、血圧を上げるタンパク質(アンジオテンシン受容体)の発現量が低下し、血圧低下が生じることが、高血圧ラットを用いた実験で分かったということです。
さらに、この頭部への物理的衝撃を高血圧者(ヒト)に適用すると、高血圧が改善することを世界で初めて明らかになりました(図1)。
運動による降圧効果のメカニズムは血管内皮から分泌されるNO(一酸化窒素)による血管拡張作用によるものなどがありますが、運動により脳の物理的衝撃が加わり血圧低下作用がもたらされるとはとても興味深いはなしです。
ロックのライブで頭をガンガンに振った後は血圧がさがるかもしれないと思ってしまいました。
運動は人体に対してさまざまな良い面があるんですね。
運動しやすい季節になってきました。
みなさんもぜひ運動習慣をもちましょう。