第12回 コラム
ニンニク注射
こんにちは。
みなさんは「ニンニク注射」というものをご存じですか。
よく疲れた時とかに注射したりしますよね。今日はそのニンニク注射のお話です。
そもそもなぜ「ニンニク注射」というのでしょう。
アリナミンに含まれている硫化アリルという物質にニンニク臭があり、注射をされている最中にニンニクのような匂いがするからそうよばれるようになりました(注射後その匂いはすぐ消えるのでご心配なく)。
ニンニク注射とは「アリナミンF」注射のことです。主成分はフルスルチアミンというビタミンB1誘導体になります。
みなさん疲れた時によく飲むアリナミン錠がありますよね。あれにもフルスルチアミンが含まれていて、その注射版です。直接血管内に投与するので、内服して消化管を経由して吸収されるより高い効果が期待されます。
添付文書上は下記疾患のうちビタミンB1の欠乏や代謝障害が関与する場合に適応となります
・神経痛
・筋肉痛、関節痛
・末梢神経炎、末梢神経麻痺
・心筋代謝障害
・便秘等の胃腸運動機能障害
・術後腸管麻痺
要は上記のような症状に効く可能性があるということですね。
ではそもそもビタミンB1とはいったいどんなビタミンなのでしょう。
↑フルスルチアミン
まずビタミンとは人間が生きるために必要な栄養素のうち、生体内で十分な量を合成できない有機化合物の総称です。
そのうちビタミンB1は炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素の代謝になくてはならない存在です。その中でも生きていくために必須の栄養素糖質の代謝で重要な役割を果たしています。
アリナミンRホームページより引用
そしてビタミンB1(フルスルチアミン)はエネルギー代謝を改善することによって抗疲労効果を示します。
また神経の情報伝達においても重要な働きを示し、神経痛などにもビタミンB1は有効と言われています。
さらに興味深いことにフルスルチアミンには自発的な運動活動性を高める作用があるという研究報告があります。
運動が体にいいことが分かっていてもなかなか継続することは難しいですよね。
研究ではラット(ネズミ)にフルスルチアミンを投与すると、脳の前頭葉でドーパミンという「意欲」を司るホルモンの分泌が増加し、同時にラットの自発行動量が増加しました1)。
また。フルスルチアミンの投与で運動活動性が高まるということは、ニンニク注射やアリナミン内服が運動の継続の一助になるかもしれませんね。
このようにさまざまな効果のあることが分かっているフルスルチアミン製剤のアリナミンF(ニンニク注射)、当院でも取り扱いしておりますので、もしご興味あれば一度お試しください。
【参考文献】
1. Saiki M, et al. Scientific Reports. 2018 Jul 11; 8(1): 10469.
「フルスルチアミンの脳への作用」アリナミン製薬
LaLaクリニック
院長 安久 正哲