第9回 コラム
アレルゲン免疫療法
こんにちは。
花粉症が猛威をふるってきました。
関東地方では2月末から3月上旬がピークを迎えるとの予報です。
花粉症の人の割合は年々増えています。1998年では人口の19.6%でしたが2019年では42.5%に達しています。
すごい増えていますね。なんでこんなに増えているのでしょう。
原因はひとつではなくさまざまの要因がありそうです。
まずそもそも飛散する花粉自体が増加しています。戦後建築材として使用するため日本の山に杉がたくさん植えられました。その杉たちが今大きくなって花粉を飛ばしているのです。その他に感染症の減少や空気中の汚染物質、春先に日本に飛散する黄砂、都市部における空気の乾燥なども可能性として指摘されています。
さらに人間側の原因として食生活の変化、腸内細菌の変化、喫煙、ストレスなども原因になります。
このように様々な要因で増加して現在の日本人を困らせている花粉症ですが、ではどのような予防や治療法があるのでしょう。
現在日本ではおおむね以下のようなものがあります。
①物理的に花粉への曝露を減らす
②対症療法
③手術
④抗体療法
⑤根治療法(アレルゲン免疫療法)
①物理的予防
マスクやメガネの着用、花粉の付きにくい服装の選択、手洗い、洗顔、換気等を行い、花粉との接触自体を減らします
②対症療法
花粉症の鼻汁、眼のかゆみ等の症状に対してその症状を和らげる治療を行います。
薬物療法として抗ヒスタミン薬の内服、点眼薬、鼻噴霧薬があります。
みなさんおなじみの治療法だと思います。
③手術
鼻の粘膜をレーザーで処理したり、鼻腔内の形態を変えて空気の通りを良くしたり、鼻腔内の神経の一部を切断して鼻水自体をでなくする手術などがあります。
④抗体療法
アレルギー反応において重要な働きをするIgE抗体に結合してその働きをブロックする生物学的製剤を注射してアレルギー反応を抑える治療法です。ゾレア®皮下注による治療法があります。
⑤アレルゲン免疫療法
対症療法というのは花粉症自体は治っていませんが花粉症のそれぞれの症状に対して治療するというものです。それに対して花粉症自体を根治させる治療法になります。
アレルゲン免疫療法といって舌下免疫療法と皮下免疫療法があります。
次回はこのアレルゲン免疫療法についておはなししたいと思います
【参考文献】
・環境省 花粉症環境保健マニュアル2022
・日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 花粉症治療法最前線
・文部科学省科学振興調整費、生活・社会基盤研究、生活者ニーズ対応研究
「スギ花粉症克服に向けた総合研究(第Ⅱ期成果報 告書)の報告」
LaLaクリニック
院長 安久 正哲